第25回KG-RCSPセミナー

「社会的ジレンマ実験プログラムの開発と実践:oTreeを用いて」

【日時】2020年1月6日(月) 13:00~15:00, 15:10~17:30
※前後半に分かれており、前半パートは実際に実験プログラムを作る話で、Pythonを実行できる環境(Anacondaなど)の準備が各自必要になります。
後半はすでに作られた実験を使ったデモや簡単な使い方についての紹介となります。後半部分のみを希望の方は15時10分からお越しください。
※参加登録が必要です。下記URLからお願いします。
https://forms.gle/NE9PGm94HM2VSGky6

【場所】関西学院大学(西宮上ケ原キャン

パス)社会学部棟3F 社会心理実験準備室

【発表者】後藤晶氏(明治大学)

【概要】 社会的ジレンマ状況に関する実験は社会心理学や行動経済学の注目を浴びているトピックの一つである.一方で,実験を実施するにはプログラムの作成が大きな壁となっている.従来ではz-Tree(Fischbacher, 2007)と呼ばれる経済実験プログラムを用いることが多いが,基本的にwindows端末でなければ実験ができないなどの様々な制約条件が存在している.

しかし,昨今ではPythonのwebアプリケーションフレームワークであるdjangoをベースにしたoTree(Chen, et.al, 2016)というプログラムの開発が進められている.このプログラムのメリットは広く使われている言語の一つであるPythonに基づいてプログラムを設計できる点,さらにwebブラウザ上で実験を実施できる点にある.

今回のセミナーでは主に実験プログラムの開発と実践に着目して,実際のプログラム開発およびoTreeの操作方法について紹介する.主に対象となるのは以下の方々である.①実際に実験プログラムを作ってみたい方:実際にプログラム体験を予定している.②プログラム作成まではいかなくとも,完成しているoTreeサーバの使い方を学びたい方:公開しているサーバに触れながら,その操作方法を紹介する.③広く,インタラクションのある社会的ジレンマ研究に興味のある方.

さらに,プログラム開発と実践を通じて,これからの新たな実験研究の展開可能性について議論したい.

※実際に実験プログラムを作

りたい方は、前半パートからご参加ください。その場合、Pythonが動く環境をご自身で用意して頂く必要があります。

Pythonの環境を準備するための資料

参加登録をされたら、上のリンクにある資料を必ずご確認ください。


セミナーは,無事盛会にて終了いたしました.後藤先生およびご参加下さった皆様,ありがとうございました.

第3回犬山認知行動研究会議

本センターが第1回から共催している犬山認知行動研究会議が,以下の日程と場所で開催されます.

2020年1月11日(土)・12日(日)

会場:大阪大学中之島センター 703教室

主催:犬山認知行動研究会議実行委員会

参加費無料・予約不要です.プログラムなど,詳しくは会議のWebサイトをご覧ください.

第24回KG-RCSPセミナー

「維新支持の分析」(善教将大・関西学院大学)

【日時】2019年11月22日(金) 15:30~17:30
【場所】関西学院大学(上ヶ原キャンパス)図書館ホール(関西学院大学図書館B1F)
【発表者】善教将大(関西学院大学法学部・社会心理学研究センター研究員)

【概要】2019年4月に行われた大阪市長選と大阪府知事選の結果は、維新の強さを改めて見せつけるものだった。大阪府知事だった松井一郎が大阪市長選に、大阪市長だった吉村洋文が大阪府知事選に出馬するという異例の戦略に対して、多くの識者やメディアは批判を浴びせた。しかし結果は、両選挙ともに維新の候補者が勝利するというものだった。全国的には支持率は低く、それほど選挙に強いわけでもない維新がなぜ関西圏、特に大阪では多くの有権者に支持される政党となっているのか。本報告では、まず、これまで報告者が行ってきた維新支持に関する実証研究をまとめた『維新支持の分析:ポピュリズムか、有権者の合理性か』(有斐閣、2018年・第41回サントリー学芸賞受賞)の内容を紹介しながら、維新が「大阪」の代表者として認識されていることが支持される理由として重要であることを指摘する。その上で、報告者が2019年5月に実施した意識調査の分析を通じて、自民支持層の「票割れ」などにもふれつつ、維新が支持される理由を改めて検討していく。​


セミナーと研究交流会は,無事盛会にて終了いたしました.ご参加下さった皆様,ありがとうございました.

第7回KG-RCSP合同ゼミ

KG-RCSP合同ゼミは,異なる大学・学部の複数のゼミが集い,メンバーの研究発表と外部ゲストの講演を交えた「多様性と類似性の相乗効果」の場です.毎回,ゼミメンバーの発表に加えて,興味深い研究をしておられる 「今,この人の話を是非聴きたい+学生たちに聴かせたい」と思える研究者をお招きして講演もしていただいています.聴講・議論への参加は,ゼミ内外,学部生/大学院生/職業研究者等々を問わず,どなたでも歓迎します.

【日時】2019年7月31日(水) 13:00-17:30
【場所】関西学院大学西宮上ケ原キャンパス E号館102教室

第1部:ゼミメンバーによる発表

13:10-14:00 白井理沙子(関西学院大学小川ゼミD3)
直観的な道徳判断の基盤となる知覚・認知処理の役割の解明

従来の研究は,道徳判断に意識的な思考が重要であることを示してきた。それに反してHaidt (2001) は,道徳判断の主な源泉は情動処理を含む直観にあると主張した。しかし,情動が生起しない場合でも即座に道徳判断が下される場合もあり,直観的な道徳判断のプロセスには不明な点が多い。これを解明するためには,素早く判断を下すうえで重要な役割を果たす初期の知覚・認知処理において,道徳情報がどのような影響を及ぼしているのかを明らかにする必要がある。これまで多くの研究が,ヘビやクモのようなネガティブ情動と関連した刺激は早く気づかれたり,注意を方向づけたりすることを示してきた。道徳と関連した情動情報はこうした生物学的な情動刺激と同じように視覚的気づきや注意処理に影響を及ぼすのだろうか。今回の合同ゼミでは,連続フラッシュ抑制,クラウディング,高速逐次視覚提示法等によって道徳情報が知覚・認知処理に及ぼす影響を調べた研究を報告する。また,個人の倫理的価値観の多次元的な組み合わせからなる政治的信条にも焦点を当て,個人の政治的信条と知覚・認知処理の関連性について検討した研究も報告する。

14:05-14:55 大工泰裕(大阪大学社会心理学研究室D3)
詐欺の手口に関する情報が詐欺への抵抗に及ぼす影響

詐欺被害は長きに渡る社会問題の一つであるが、未だにその解決策は見つかっていない。最大の謎としてあげられるのが、なぜこれほどまでに典型的な手口が知れ渡っているにもかかわらず、被害が増え続けるのかということである。実際、警察庁の調査では被害者のおよそ7割の人々が手口を知っているのにもかかわらず騙されたと報告している。この謎を解明しなければ、広報啓発などの詐欺対策は効果を得られない。
発表者はこの謎を解明すべく、「詐欺被害の手口の情報をどう処理しているのか」、「得られた手口の情報をどのように使用しているのか」という二側面に着目し、研究を行ってきた。当日はこれらの研究結果を報告するとともに、今後の方向性についても議論したい。

15:00-15:50 中村早希(関西学院大学小川ゼミ大学院研究員・大学院奨励研究員)
複数源泉・複数方向の説得状況における説得の2過程モデルの適用可能性

複数人から異なる方向に説得される状況(例えば、選挙)は多々あるにも関わらず、これまでの説得研究では、1人から説得を受ける状況ばかりが注目されてきた。発表者は、複数人から異なる方向に説得される状況での態度変容プロセスの解明を目的とした研究を進めている。本発表では、説得の受容プロセスに関する主要なモデル(説得の2過程モデル)が、この状況においても適用可能であるかどうかを検証した実験について紹介する。具体的には、(1)説得者間で唱導方向が必ずしも対立しない場合(「AとBどちらが良いか」)と(2)対立する場合(「Aについて賛成か、反対か」)の2つの場面を用いて検討した。これらの研究成果について発表し、議論を行いたい。

第2部:招待講演

16:00-17:30 北村英哉先生(東洋大学)

【タイトル】穢れ忌避について

【概要】人の道徳基盤やモラルのあり方について、さまざまな議論が見られるが、清浄さ(purity)について、さらに詳細な研究が必要であろうことは、村山・三浦(2019)においても示されている。道徳基盤のあり方と共に、日本文化を十分勘案した清浄さを検討するにあたって、「穢れ」概念にも配慮し、新たな清浄志向/穢れ忌避傾向尺度を構成した。穢れに関わる実験刺激に対するネガティブ反応の検討など実験知見も交えながら、穢れ忌避傾向の検討結果を示す。


いずれの発表・講演についても熱心な討論が交わされました。北村先生、ご参加下さった皆様ありがとうございました。

第23回KG-RCSPセミナー/第36回政治コミュニケーション研究会

夏だ!調査だ!!実験だ!!!

今回のセミナーは、小林哲郎氏(香港城市大学)および稲増一憲(関西学院大学)が、メディア・コミュニケーション研究の新しい知見をそれぞれ発表する、2本立ての構成でお送りします。個々の知見に加えて、日本のメディア・コミュニケーション研究をめぐる総合的なディスカッションを行うことができればと思います。学問分野を問わず、関心のある方のご参加をお待ちしています。

【日時】2019年7月26日(金) 14:30~17:45
【場所】関西学院大学(上ヶ原キャンパス) E-102教室

【発表者】小林哲郎氏(香港城市大学)
【発表言語】日本語
【タイトル】党派的な選択的接触の境界条件:文化とアイデンティティの観点から
【概要】党派的な選択的接触はアメリカを中心とする政治コミュニケーション研究では繰り返し報告されており、オンラインエコーチェンバーや政治的態度や感情の極性化の一因として考えられている。しかし、アメリカ以外の文脈では党派的な選択的接触は必ずしも強く見られていない。本報告は、文化とアイデンティティという2つの要因に注目し、党派的な選択的接触の境界条件を明らかにすることを目的とした一連の研究を紹介する。まず、擬似オンラインニュースサイトを用いてアメリカ、日本、香港で行われた比較文化研究では、アメリカでは選択的接触が強く見られるのに対して、香港では比較的弱く、日本では見られないことを示す。次に、香港における一連の研究から、香港人という単一アイデンティティを持つ人は選択的接触を示すのに対して、香港人と中国人のデュアルアイデンティティを持つ人の間では選択的接触は見られないことを示す。さらにこのアイデンティティによる差異は政治的なソーシャルメディア利用が態度と感情の極性化に及ぼす効果を調整しており、デュアルアイデンティティを持つ人はソーシャルメディアを政治コミュニケーションに利用するほど、政治的態度や感情が「非極性化」することを示す。これらの一連の研究を通して、アメリカにおける研究の強い影響を受けて「定見」となりつつある党派的な選択的接触の普遍性について議論したい。

【発表者】稲増一憲(関西学院大学)
【タイトル】自他への社会的影響の認識の差異:マスメディアの第三者効果研究の新展開を目指して
【発表言語】日本語
【概要】人間が他者に対するメディアの影響力を自身への影響力と比べて過大視するマスメディアの第三者効果の存在は、メディア・コミュニケーション研究において、たびたび確認されてきた。一方で心理学においては、このような自他への社会的影響の認識の差は、マスメディアだけでなく対人的コミュニケーション等においても見られる一般的な現象として捉えられている。しかし、いずれの分野においてもなぜこのような現象が起こるのかについて、十分や説明が行われているとは言い難い。そこで本研究は、自他への社会的影響の認識の差をもたらす要因を探るべく、複数のWeb調査によって検証を行った。まず、有力な説のひとつとされてきた自己奉仕バイアスに基づく説明については、自尊心や自己愛と自他への社会的影響の認識の差に相関が見られず、社会的に望ましい情報について自己への影響力を過大視する第一者効果も再現されなかったことから、少なくとも日本においては成り立たない可能性が示唆された。また、政治的意見についての家族・学校教育・他者との会話・インターネット、およびマスメディアについての自他への影響力の差の認識を測定したところ、マスメディアの影響力の差の認識のみが他の情報源より大きかった。これらの結果は、一般的な自他への影響力の認識の差とマスメディアの第三者効果特有の部分を弁別した上で、それぞれをもたらす要因についてさらなる検証を行う必要性を示している。

■ 懇親会(18:30~)も西宮北口周辺で予定しております。ぜひご参加ください。
懇親会のみの参加も歓迎いたします。
■ 懇親会参加人数把握のため、以下のフォームから【7月19日(金)までに】事前登録をお願いします。
なお、研究会自体には事前登録がなくても参加可能です。
https://forms.gle/7ZFd4XxCLr6azT7P6


いずれのセミナーについても活発な意見交換を行うことができました。小林さん、ご参加下さった皆様、ありがとうございました

新体制のお知らせ

2019年4月1日より,以下の通りセンター運営体制が変更となりました.

センター長:稲増一憲(社会学部教授)
センター副長:清水裕士(社会学部教授)

センター長就任挨拶(長い)はこちらをご覧下さい.

2018年度までセンター長を務めた三浦麻子は,大阪大学大学院人間科学研究科に移籍しましたが,引き続き客員研究員として活動に関わります.

今後ともよろしくお願いいたします.