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2021年度「社会心理学会若手研究者奨励賞」の受賞

センターに所属する大学院生の岡田葦生さんが2021年度の「社会心理学会若手研究者奨励賞」を受賞しました。

こちらから、研究概要と受賞に際しての講評を読むことができます。

なお、岡田さんは申請時には京都大学大学院法学研究科に所属していましたが、2022年4月より関西学院大学大学院社会学研究科に進学し、社会心理学研究センターの一員となりました。

今後、社会心理学と政治学を架橋する研究を進められることを願っています。

第12回KG-RCSP合同ゼミ

KG-RCSP合同ゼミは,異なる学部の複数のゼミが集い,メンバーの研究発表と外部ゲストの講演を交えた「多様性と類似性の相乗効果」の場です.毎回,ゼミメンバーの発表に加えて,興味深い研究をしておられる 「今,この人の話を是非聴きたい+学生たちに聴かせたい」と思える研究者をお招きして講演もしていただいています.聴講・議論への参加は,ゼミ内外,学部生/大学院生/職業研究者等々を問わず,どなたでも歓迎します.

第12回目となる今回は,学生6名が自身の研究成果や研究計画を発表するとともに,齋藤僚介氏(大阪大学大学院人間科学研究科・日本学術振興会特別研究員)をお招きして行います.

【日時】2022年3月4日(金) 13:30-18:30(予定)
【場所】オンライン(Zoom)での開催


新型コロナウイルスの感染拡大が続いている状況を鑑み,今回の合同ゼミはオンラインで行います.参加には事前登録が必要です.

参加に際しては,以下のURLから事前登録をお願いします.登録承認後,「第12回KG-RCSP合同ゼミ確認」というタイトルでアクセス要領が書かれた返信メールが届きます.「ここをクリックして参加」をクリックするか,ZoomにアクセスしてミーティングIDとパスワードを入力して参加してください.

ご不明な点は稲増一憲(k-inamasu@kwansei.ac.jp)にお問い合わせください.

https://us06web.zoom.us/meeting/register/tZcqdeGuqzkiEtYIKIaecFMU-9CLUgMwPbca
ミーティングID:837 2865 2882

 


第1部:ゼミメンバーによる発表

13:30-14:00 井上 心太(関西学院大学社会学部B4(同大学院社会学研究科進学予定))
認知課題を用いた親密さ測定法の提案

本研究の目的は、認知課題を利用した新たな親密さの測定法を提案することである。従来、親密さを測定するために様々な尺度が開発されてきた。しかし、これらの尺度について、自己評定式尺度であるため測定結果にバイアスが生じること、親密さを測定する尺度の多くは、それが基盤とする理論に基づいた尺度作成がされていないこと、といった問題点が挙げられている。そこで本研究では、Aron, Aron, Tuder, & Nelson(1991)のInclusion of Other in the Self(IOS)の観点から、認知的な連合として親密さを測定する方法を提案することでこの問題を解決する。本研究ではDrift Diffusion Modelを利用し、測定の際に生じる非決定時間や慎重さといったバイアスを取り除き、親密さを表すと考えられる純粋な連合を測定した。三つの研究をおこなった結果、認知課題によって測定された親密さは、質問紙で測定された親密さ得点と有意に相関することが示された。

14:00-14:30 中川令美(関西学院大学文学部B4(同大学院文学研究科進学予定))
視覚統計学習における事象間の共通性の役割

本研究では,視覚的規則性の学習が課題切り替えによってどのように変化するかについて検討した.学習フェーズでは,参加者は呈示されたシーン画像に対して,シーンカテゴリ判断課題またはシーン内に人がいるかどうかを判断する課題を,試行ごとにランダムに切り替えながら行った.このとき刺激系列は,常に連続して出現する2枚ずつの画像ペアから構成されていた.テストフェーズでは学習フェーズにおいて呈示されていたターゲットペアと呈示されなかったフォイルペアについて二択の強制選択課題を行わせ,刺激系列が学習されているかどうかを検討した.その結果,画像間で多くの特徴を共有するペアにおいて,より強く統計学習が生起した.さらに課題切り替えや反応生成のタイミングを変えることで,抽出される特徴が変化した.本研究の結果は,連続する事象間における特徴の共通性が視覚統計学習のパフォーマンスを変化させることを示している.

14:30-15:00 田島 綾乃(関西学院大学大学院社会学研究科M2)
オタクの自己開示の状況と自己呈示方略の検討

オタクと呼ばれるアニメ・マンガ・ゲームを愛好する人々は、年々増加し今や少数派とは言えなくなっている。しかし、オタク趣味を持つことを他者から隠そうとする行動がオタクたちの中に散見される。本研究の目的は、オタクが自己開示を行う状況によって趣味開示の程度は異なるのか、そして自己紹介時における自己呈示方略について検討するものである。調査では、自己紹介場面を不確実性高条件、不確実性低条件 (オタク有)、不確実性低条件 (オタク無) と設定し、各条件においてどの程度オタク趣味を開示するか、web調査実験を行った。結果、すべての条件において趣味の開示得点に差が見られ、不確実性が高い状況において, 周囲にオタクがいない状況と同様, オタク趣味を話す程度が低くなることが示された。また、オタクが自己紹介の場面に遭遇した場合にどのような自己紹介を行うかについて自由記述で回答を求めた。結果、「一般人呈示型」「シグナル型」「様子見型」「オタク開示型」の自己呈示方略を用いることが示された。

(休憩)

15:10-15:40 岡田 葦生(京都大学大学院法学研究科D2(関西学院大学大学院社会学研究科博士後期課程進学予定))
政治忌避意識の心理的構造

近年の日本では投票率の低下が問題視されているが、日本の有権者の政治的消極性は投票参加のみにとどまらない、政治参加全体に及んでいる。こうした傾向の説明の一つに、政治性そのものを嫌う心理からこの現象を捉えようとする立場がある(西澤 2004)。一方で、この政治忌避意識の内容はどのようなものであるか、すなわち人々が具体的に政治のどのような側面を嫌っているかについては十分に解明されていない。本研究では自由回答データに対してトピックモデルを用いることで、この心理の質的多様性を描き出すことを試みた。その結果、政治忌避意識には既存の政治意識概念と重複する要素も多く含まれる一方で、それらとは異なる側面もいくつか含まれることが明らかとなった。本研究の結果は、人々の政治との向き合い方の理解と、それを踏まえた市民の政治的活性化に対して有用な示唆を与えるものである。

15:40-16:10 西辻 好花(神戸女学院大学人間科学部B4(大阪大学大学院人間科学研究科進学予定))
不公正世界信念と公正世界信念

公正世界信念とは、「正の投入には正の結果が伴う」といった、世の中の公正に関する信念である。対して、不公正世界信念とは、「世の中に公正は存在しない」という信念のことを指す。公正世界信念は、心の健康に正の関連があるとされており(Fatima & Suhail, 2010)、不公正世界信念は怒りや防衛的なストレスコーピングと正の関連があるとされている(Lench& Chang, 2007)。Lench & Chang(2007)の研究においては、不公正世界信念を測定する尺度が作成され、公正世界信念と負の関連があることが分かっている。しかし、Maes & Schmitt(1999)の多元的な尺度を用いて、公正世界信念と被害者非難との関連を検討した村山・三浦(2015)の研究においては、公正世界信念の一種である内在的公正世界信念と不公正世界信念は無相関となっている。日本における不公正世界信念と公正世界信念の関係を検討することを目的として、今後の研究を行っていく予定である。

16:10-16:40 李 葎理(追手門学院大学心理学部B4(大阪大学大学院人間科学研究科進学予定))
相対的剥奪と非就業状態の原因帰属との関連-公正世界信念の調整効果の検討-

相対的剥奪とは,人が自身と類似した他者と比較して,奪われていると感じることを指す。この傾向が強い人は,自分よりも立場の弱い人々に対して攻撃的になることが,先行研究によって示されてきた。本研究の目的は,個人的な相対的剥奪(Personal Relative Deprivation: PRD)を感じている人が,非就業状態の原因を個人的な要因へと帰属させやすいのかどうかを検証することであった。また,相対的剥奪と原因帰属との関連における公正世界信念の調整効果についても,併せて検討を行った。オンライン調査会社に依頼し,19歳から34 歳の就業者400名を対象にデータを収集した。分析の結果,PRDの高さは,非就業状態の個人的帰属を有意に予測していた。しかし,PRDと公正世界信念の下位次元の交互作用は有意ではなく,公正世界信念は,PRDと非就業状態の原因帰属の関連を調整しなかった。これらの結果から,人は剥奪を感じたときに,個人を非難するような原因帰属を行うことによって,自己の回復を図る可能性が示唆された。

(休憩)

第2部:招待講演

17:00-18:30 齋藤 僚介 先生(大阪大学大学院人間科学研究科・日本学術振興会特別研究員)
ナショナリズムをめぐる社会問題の実証研究

近年、排外主義的社会運動やインターネット上での差別的書き込み等が社会問題となっている。この問題に対して、とりわけ注目されてきたのがナショナリズムである。一方で、近年のナショナリズムに関する先行研究によれば、ナショナリズムは多様な類型として捉える必要があるとされる。そこで、本研究では、個人の意識としてのナショナリズムの類型と社会的文脈に着目して彼らのナショナリズムを伴う差別的行為の生成メカニズムを明らかにすることを試みた。本研究では、従来の社会運動論をミクロマクロリンクとミクロな理論としての合理的選択理論のもとで再構成した、K. Opp(2009)の社会運動の理論に依拠する。理論的な検討、および社会調査データの計量的な分析の結果、デマゴーグが受容されやすい2つの社会的条件のうち一方が成り立っている社会状況で、ネーションに全面的にアイデンティフィケーションするナショナリズムの持ち主に、権利問題がフレーミングされた場合に、そのうち正義感がある人々が排外主義的集合行為に参加しやすいことがわかった。